🐾どこまでが愛で、どこからが無理? 多頭保護という現実
- かとうようこ

- 10月16日
- 読了時間: 7分

🐾 多頭飼育の現場で起きていること
動物と関わるお仕事をしていると、時々、多頭飼育で悩みを抱えている方や、
すでに崩壊寸前の状況にいる方のお話を耳にすることがあります。
たとえば、知り合いの方から聞いた話では、
近くの神社に次々と捨て猫が現れ、助けたい一心で保護していたところ、
いつの間にか家の中は猫でいっぱいに。
外にもフードを置くようになり、周囲の猫が家の前に集まるようになって、
隣家のバイクや車の上に乗るなどのトラブルが絶えず、
本人も「どうしていいかわからない」と困り果てている――
そんなケースがありました。
また、個人で保護活動をされている方の中には、
マンションの廊下に床から天井までケージを積み上げ、
中にたくさんの猫を入れて飼育しているという話も耳にしました。
もし地震や火事などの災害があったり、
病気や事故など、ご本人に何かあった時には、
このケージに閉じ込められた猫たちはどうなるのだろうかと、
聞いていて胸が苦しくなりました。
中には、たくさんの猫を飼っていた方が亡くなり、
家の中に猫が取り残されてしまうケースもありました。
ドアを開けると、床一面に糞が10センチ以上も堆積し、
数匹だと思っていた猫が実際には40匹以上いた――
そんな現場で猫たちの救出活動をされた方もいました。
どの話も「最初は助けたい」という優しい気持ちから始まったもの。
けれど、気づかないうちにその優しさが自分を追い込み、
動物たちの幸せまでも脅かしてしまうことがあります。

🐾多頭保護や過剰救済の心理と、心と命を守るためのチェック
動物との生活や保護活動は、私たちに癒しや喜びを与えてくれるれる大切な存在です。
でも、ときに無意識のうちに、保護者自身や動物に負担が大きくなることがあります。
最初は優しい気持ちから始めた保護も、知らないうちに過剰になり、結果として動物の健康や生活に影響が出てしまうこともあるのです。
ここでは、多頭保護や過剰救済に陥りやすい心理や危険サイン、そして自分や動物を守るための方法をお伝えします。
🧠 こんな心理が関わっています
~善意から過剰保護へと至る心理的背景~
多頭保護や過剰な保護活動に共通する心理には、次のような傾向があります。
💖助けたい気持ちが強すぎる
「全ての命を救いたい」「この子を放っておけない」と感じることが、行動を止められなくすることがあります。
⚖️境界があいまいになる
自分の体力や時間、生活の限界を見落とし、無理して世話を続けてしまうことがあります。
🐾感情依存
動物からの愛情や感謝に安心感を感じ、そこに心が強く引き寄せられる場合があります。
🎯使命感の歪み
「自分が救わなければ誰が救うのか」という思い込みで、理性より感情が先に出てしまうことがあります。
🌀 善意から負担・危険に至る過程
🐱最初は優しい気持ちでスタート
可愛い、助けたい、と思って動物を迎える。生活や健康はほぼ影響なし。
🐾徐々に過剰救済に
数を増やすことで安心感や満足感を得る。使命感や責任感が強くなる。
⚠️生活・体力の限界を超える
衛生や健康管理が追いつかなくなり、生活や健康に支障が出る。
❌最悪の場合、動物への影響が出る
食事不足や健康管理不十分など、無意識のうちに虐待や保護崩壊に近い状態になる。
⚠ 自分や動物を守るためのチェック
チェック項目(1項目=1点)
🛌動物や保護活動で、自分の睡眠・食事・休息が十分に取れていない
💸生活費や貯金が圧迫されている
😔「助けないと罪悪感がある」と強く感じる
🛑行動を止められない、やめられないことがある
🐕動物の数が多く、健康や衛生管理が十分でない
👂他人の意見や助言を受け入れにくい
➕新たな保護や救済活動をやめられず、常に増えてしまう
🧍♂️自分の健康や人間関係を犠牲にしても保護活動を優先してしまう
危険度判定(点数でチェック)
点数 | 状態 | コメント |
0~2 | ✅健全 | 自分や動物のバランスは比較的良好。今の生活を続けながら、無理がないか時々振り返ろう。 |
3~4 | ⚠注意 | 過剰傾向あり。少し負担がかかっているサイン。生活や保護のやり方を見直すことをおすすめします。 |
5~7 | ❗危険 | 注意が必要。支援や助言を積極的に受けることが望ましい。無理をせず、優先順位を整理しましょう。 |
8 | 🚨緊急 | 早急な対応が必要。専門家や信頼できる第三者に相談し、保護活動や生活の調整を行いましょう。 |
💡 使い方の例
各項目に「はい」の場合は1点、いいえの場合は0点として合計
合計点数を上の表で確認し、自分の危険度を把握
高得点の場合は無理をせず、まずは現状を整理して段階的に減らすことが重要
🐾 具体的な事例
事例1: 多頭飼育による生活の崩壊
ある保護者は、最初は1匹の猫を保護しましたが、次第に数が増え、最終的には20匹以上の猫を飼うことになりました。世話が行き届かず、猫たちの健康状態が悪化し、生活環境も劣悪になってしまいました。周囲の人々からの指摘を受け入れられず、最終的には保護団体の介入により、猫たちは新しい飼い主のもとへと引き取られました。
事例2: 過剰な保護活動による精神的負担
別の保護者は、毎日のように保護活動を行い、動物たちの世話に追われる日々を送っていました。しかし、次第に自分の体調が悪化し、精神的にも疲弊していきました。周囲の人々からの助言を受け入れ、活動を一時休止することで、自分自身の健康を取り戻すことができました。
🛡️心と命を守るためのステップ
🪞自己認識を深める
自分の行動や感情を振り返り、過剰保護や多頭飼育に陥っていないかを確認しましょう。
👂第三者の意見を受け入れる
信頼できる人や専門家からの意見を受け入れ、客観的な視点を持つことが大切です。
💛無理をしない
自分の生活や健康を最優先に考え、無理をせず、できる範囲での保護活動を心がけましょう。
🆘支援を求める
困難な状況にある場合は、保護団体や専門機関に相談し、適切な支援を受けることが重要です。
📞相談窓口
🏢 地域の保健所・動物愛護センター
多頭飼育の問題が深刻化する前に、まずはお住まいの地域の保健所や動物愛護センターに相談することをおすすめします。これらの機関では、飼育環境の改善指導や動物の引き取り、譲渡支援などを行っています。
🏢動物愛護センター
動物に関する相談や支援を行っています。
🏢各市町村の保健所
お住まいの市町村の保健所でも、動物に関する相談を受け付けています。
🐶 動物愛護団体・NPO法人
多頭飼育崩壊の問題に取り組む民間の動物愛護団体やNPO法人もあります。これらの団体では、動物の引き取りや譲渡、飼い主への支援などを行っています。
動物愛護に関する啓発活動や支援を行っています。
動物の保護活動や支援を行っています。
📞 相談窓口
動物に関する相談を受け付けています。電話番号は各都道府県で異なりますので、環境省のウェブサイトで確認してください。
🐾動物愛護団体への直接問い合わせ
上記の団体に直接連絡を取ることで、具体的な支援を受けることができます。
🛠️ 支援の流れ
🔍現状の把握
飼育している動物の数や健康状態、飼育環境を確認します。
📞相談・連絡
上記の相談窓口や団体に連絡し、状況を説明します。
🤝支援の受け入れ
必要に応じて、動物の引き取りや譲渡、飼育環境の改善支援を受けます。
飼育環境の改善や動物の福祉を最優先に考え、適切な支援を受けることが重要です。上記の機関や団体に相談することで、問題の解決に向けた第一歩を踏み出すことができます。
💬 最後に
動物との生活や保護活動は、私たちに多くの喜びをもたらしてくれます。
しかし、過剰な保護や多頭飼育は、動物や自分自身にとって負担となることがあります。
自分の行動や感情を振り返り、必要な支援を受けることで、心と命を守ることができます。
あなたの優しさが、動物たちにとっても、あなた自身にとっても、より良い形で生かされることを願っています。




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