連載⑥🐾旅立ちの季節|マリーちゃんの仔猫たちと里親さんとの出会い
- かとうようこ
- 2月5日
- 読了時間: 3分
更新日:3 日前
~4つの命が家族と出会う日~

🍼 生後2か月、里親募集のスタート
マリーちゃんの赤ちゃんたちが生まれて2か月が経った頃、私は仔猫たちの里親募集を始めました。4つ子たちは、みんな本当に愛らしく、毛色もそれぞれ個性豊かで、シルバーマッカレルや白い被毛がまるで小さな妖精のよう。
ありがたいことに、県内外からたくさんのご応募をいただきました。
🗣 マリーちゃんの物語を伝えること
私は、保護主として、そしてアニマルコミュニケーターとして、マリーちゃんの想いを代弁するような気持ちで、面会に来てくださるすべての方に、マリーちゃんとの出会いから、サンルームでの出産、そしてここまでの成長の過程を丁寧にお話しました。
「この子たちが、安心して一生を過ごせるように」そんな願いを込めて、ひとつひとつのご縁を大切に見極めました。
🧠 いま、大切な学びの時期
生後2〜3か月は、仔猫たちにとってとても大切な社会化の時期です。
野生の猫であれば、母猫から狩りの仕方や身の守り方を学ぶ時期。マリーちゃんの子どもたちはサンルームで安全に育っているため、そういったサバイバルの知識こそ学びませんが、代わりにママの姿を見てトイレの使い方や食事の仕方を覚え、兄妹同士で遊ぶ中で社会性を身につけていきました。
そのため、生後3か月までは一緒に過ごすことを条件にし、里親さんたちには少しだけ待っていただくことにしました。

🤝 面会の日、マリーちゃんの反応
初めて里親希望の方と仔猫が面会した日――私は、サンルームから一匹の仔猫を連れ出して会わせに行きました。
その間、マリーちゃんは鳴き声を上げることもなく、静かにその様子を見守っていました。まるで、「この人ならきっと大丈夫」と、心のどこかで感じていたかのような、不思議な落ち着きを見せていたのです。
面会から戻った仔猫は、何かを感じ取っていたのでしょうか。兄妹たちと身を寄せ合いながら、いつものようにはしゃぐこともなく、静かに夜を過ごしていました。


🐈⬛ 最後のおっぱい、旅立ちの儀式
生後3か月を迎え、いよいよそれぞれの里親さんのもとへ旅立つ日。
仔猫たちはすでに完全に離乳し、歯も生えそろってドライフードを元気に食べていました。それでも――
マリーちゃんは、送り出すその朝、必ずその子にだけ「最後のおっぱい」を与えていたのです。
きっと、それは「大丈夫だよ」「元気でね」という、母猫としての最後の贈りものだったのかもしれません。

💌 約束された幸せへ
里親として手を挙げてくださった皆さんは、面会の際、マリーちゃんにしっかりとこう約束してくださいました。
「必ず、幸せにします。」
その言葉を聞いて、私は心から安心して仔猫たちを送り出すことができました。
マリーちゃんと過ごした、奇跡のような3か月。4つの命が巣立っていくその姿は、切なさと、あたたかさと、静かな感動に満ちていました。
次回は、マリーちゃんの心の変化について綴ります。
(つづく)
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