小さな庭から始める“共生農法”|シネコカルチャーという未来の農のかたち
- かとうようこ
- 6月25日
- 読了時間: 4分

気候変動、世界情勢、地震や災害…。さまざまな不安が増すなか、「自分たちの食べものを、少しでも自分で育てられたら」と感じる方も増えているのではないでしょうか。
わたしもそのひとり。自然の力を借りて、地球にも動物にもやさしく、そして私たち自身も安心して口にできるものを育てたい――そんな思いから、昨年から無農薬のポタジェづくりを始めました。
そしてそれから3年。新たに出会ったのが、“共生農法”とも呼ばれるシネコカルチャー(Synecoculture)という考え方でした。
🌸 憧れていた「花も実もなる庭」ポタジェ
以前から、「花も実もある、美しい庭=ポタジェ」に憧れてきました。季節の草花やハーブ、野菜や果樹が同じ空間に育ち、目にも心にも栄養をくれる庭。
我が家には畑がないため、限られた敷地を活かしてレイズドベッドをつくり、無農薬で育てるポタジェをスタートさせたのが3年前のこと。
それは「庭と暮らしをひとつにする」ような、ささやかな挑戦でもありました。
🌱 「シネコカルチャー」という新しい農の思想
そんなポタジェの実践を続けるなかで出会ったのが、シネコカルチャー。これは、ソニーコンピュータサイエンス研究所の舩橋真俊さんが提唱している農のスタイルで、「農薬も、肥料も、耕すことさえもしない。自然界の多様性の力を最大限に引き出していく農法」です。
野菜、果樹、ハーブ、草花…それぞれが「虫を呼ぶ」「虫を遠ざける」「土を守る」「人が食べる」などの役割を持ちながら、お互いを支え合って共生していく。そんな自然の循環を、意図的に育てていくのがシネコカルチャーの特徴です。

🔁 「耕さない」「混ぜて植える」から始まる再生
従来の農業では「耕す・肥料を撒く・草を抜く」が基本でした。でも、シネコカルチャーではその“当たり前”を手放します。
むしろ、草や虫、微生物たちを仲間として迎え入れ、違う種類の植物を密に混ぜて植えることで土が自然に耕されるという考え方。植物の根が地下で絡み合い、空気や水の通り道が生まれ、やがて土が呼吸を始めるようになります。
3年前の私のポタジェは、「無農薬であること」を目指して始まりましたが、いまは自然の多様性を受け入れ、ともに育つことに重きを置くようになりました。
🌍 土に触れることで“グラウディング”される暮らし
庭に出て土に触れる時間は、いつの間にか私にとって心身を整えるグラウディング(地に足をつける感覚)の時間になっています。
メディカル・ミディアムのウィリアム・アンソニー氏も、「果実を摘む行為はトラウマを癒すグラウディング瞑想」と語っているように、野菜や果物を収穫するその瞬間が、自然と心を落ち着けてくれる大切なひとときなのです。

🛡️ 「自分で育てる」という暮らしの備え
大きな畑でなくても、小さな庭の一角やプランターからでも始められる。それがシネコカルチャーの魅力です。
食べものを少しでも自分で育てることは、単なる趣味やエコではなく、いまや「暮らしの防災」「自己防衛」の一つにもなり得ると実感しています。
🤝 共生という選択肢
舩橋さんは言います。「人間が自然と対立するのではなく、共に進化していける道がある」と。
その道を歩む中で、私のポタジェもまた少しずつ変化しています。花々に癒され、くりちゃんと一緒に庭に出る時間――それは、ただ食べものを育てるだけでなく、いのちのつながりを静かに思い出させてくれる、かけがえのない豊かさなのです。
🌱 シネコカルチャーに興味のある方へ
シネコカルチャーを提唱する舩橋真俊さんによる講演や実証実験の様子は、YouTubeなどで気軽に視聴できます。
自然と共に暮らすためのヒントが、きっとたくさん見つかるはずです。
下記に動画をいくつかご紹介していますので、ぜひのぞいてみてくださいね。
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