🍃寿長生の郷(すないのさと)|叶匠寿庵の原点をたずねて
- かとうようこ

- 7月22日
- 読了時間: 4分
~涼やかな夏の里山時間~

和菓子好きなら、一度は見かけたことのある叶匠寿庵の代表銘菓「あも」。
餡と求肥だけというシンプルさの中に、丁寧な仕事と和の美学がぎゅっと詰まった、まさに記憶に残る和菓子のひとつです。
そんな「あも」のふるさととも言える、叶匠寿庵の本拠地『寿長生の郷(すないのさと)』を訪ねてきました。




🌿 自然と調和する、和菓子づくりの里
滋賀県大津市にある寿長生の郷は、叶匠寿庵の本社が構える場所。約63,000坪にもおよぶ広大な里山では、梅や柚子の栽培を通じて、自然と共にある和菓子づくりが行われています。
整備された遊歩道を歩けば、木々の間から差し込む光、鳥の声、谷川のせせらぎが五感をやさしく包み込み、まるで時間がゆっくりと流れているような気持ちになります。

🐐 のびのびと暮らすヤギたちに癒されて
散策中、のびのびと草を食んでいるヤギたちの姿に出会いました。穏やかな表情で草を食べたり、日陰で休んだりする様子から、とても大切にお世話されていることが伝わってきます。
動物好きのわたしとしては、この光景に出会えたことも、本当に嬉しい体験でした。
和菓子の里に、こんなふうに動物たちが共に暮らしていることに、心がほっと温かくなりました。


🍧 夏限定!天然氷のかき氷は至福の一品
真夏の訪問だったこの日。外は炎天下でしたが、山あいの木陰は想像以上に涼やかで、散策も気持ちよく楽しめました。
そして楽しみにしていたのが、日光の天然氷を使った特製かき氷。いちご、桃、梅…どれも魅力的でしたが、やはりここまで来たからには食べたいのが「宇治抹茶金時」!
濃厚な宇治抹茶に、手炊きの餡、そして練乳が合わさるこの一杯は、まさに至福の味わい。ひんやりとした口どけと、小豆の風味豊かな甘さが、疲れた身体と心をやさしく癒してくれました。





🏡 古民家のたたずまいと、懐かしい文化の香り
寿長生の郷には、古民家を活かした甘味処やギャラリーも点在しています。
中に入って驚いたのは、その美術館のような雰囲気。所蔵された調度品や日本人形、美術品の展示はもちろん、休憩所には懐かしい絵本がたくさん並べられていて、まるで子ども時代にタイムスリップしたかのようでした。
どこを切り取っても、静けさと文化の気配がただよい、賑やかな観光地とはまた違う、心の奥がじんわり満たされるような空間でした。
📝 “あも”が生まれる理由に、ふと納得
ふだん口にしている和菓子が、どんな場所で、どんな想いで作られているのか。この地を訪れて、叶匠寿庵の和菓子が持つ気品や奥ゆかしさの背景には、自然と文化に寄り添う姿勢があるのだと、しみじみ感じました。
そして、草を食むヤギたちの姿にも象徴されるように、人も動物も自然の中で共に生きることの美しさが、この場所の空気感を作っているように思います。
都会の喧騒から少し離れ、五感で楽しむ贅沢な時間を過ごしたい方に、心からおすすめしたい場所です。

🎁 お土産は「粒あんのあも」と、石山寺名物「石餅」
帰り際には、もちろんお土産選びも忘れずに。叶匠寿庵といえばやはり「あも」。今回は、王道の粒あんの「あも」を選びました。実は、こしあんタイプや、中の求肥の代わりに蓮餅を使ったもの、栗入りのものもあり、どれにしようか少し迷いましたが…やっぱり、一番最初に出会った“あの味”に戻りたくて、粒あんに決定。
そしてもうひとつのお土産は、石山寺名物の「石餅」。
これは、レジを待っている間に夫が目に留めて追加してきたもの。白餅と蓬餅をねじって「絆」を表し、その上に小豆餡を大胆にのせた姿は、石山寺の象徴・硅灰石(けいかいせき)を模しているそうです。
今日は夕食の後に、できたての石餅をいただくことに。
そして「あも」は、少しずつ時間をかけて、夏の里山散策の記憶とともに味わっていこうと思っています。






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