🐕 犬から見た世界──アレクサンドラ・ホロウィッツの研究でわかる犬の認知症予防
- かとうようこ
- 9月30日
- 読了時間: 4分
更新日:10月2日

犬の認知症(認知機能不全症候群)が注目される今、愛犬の生活にできる工夫を知ることは大切です。
科学者 アレクサンドラ・ホロウィッツ の著書『犬から見た世界:その目で耳で鼻で感じていること』では、犬の知覚や心の仕組みを科学的に解説し、保護者ができるケアのヒントも紹介されています。

🔬 犬は「匂いで世界を読む」
犬の嗅覚は人間の数十倍から数十万倍。犬にとって匂いは「香り」ではなく、時間や空間の情報として読み取ります。
散歩中に地面を嗅ぐのは、誰が、いつ、どんな状態で通ったかを読む行為
匂いの変化から時間を感じ、保護者の帰宅を予測することもある
匂いを嗅ぐことは、犬にとって脳をフルに使う「知的活動」。日常的に嗅覚を使わせることは、認知症予防にもつながる重要な習慣です。
👀 視覚と時間感覚
赤と緑の区別が苦手で、青と黄色を中心に見える
遠くのわずかな動きも敏感に察知
時計は読めないが、嗅覚や環境の手がかりから時間の流れを感じる
犬は未来や過去を詳細に思い描くことはできませんが、現在を的確に捉える力に長けています。
🎾 遊びと社会性
犬同士の遊びでは「プレイバウ(お辞儀ポーズ)」が使われます。これは「これからするのは遊びだよ」という合図です。
体格差がある場合、大きい犬がわざと倒れてチャンスを与える
遊びをフェアに楽しむことで、犬は高度な社会性と他者理解を発揮する
遊びは、犬の心と脳を刺激する大切なコミュニケーションです。

🐾 日常でできる認知症予防の工夫
① 散歩は「情報収集タイム」に
1日2回、15〜30分の散歩
数分間は立ち止まって匂いを嗅ぐ時間を確保
② 匂い探しゲーム
おやつを部屋のあちこちに隠して探させる
最初は見える場所からスタート、慣れたら難易度を上げる
③ 新しい体験を取り入れる
散歩コースを週1回変える
公園や自然の多い場所で新しい匂いに触れさせる
④ 年齢に合わせて始める
小型犬:10歳前後
大型犬:7〜8歳頃
早めに、5〜6歳頃から意識するとより安心
🎲 高齢犬向けの遊び方とおすすめ知育トイ
🧩 知育トイで脳を刺激
パズルフィーダー:フードやおやつを取り出す工夫で集中力アップ
コング:中にペースト状フードを入れ、取り出す過程で脳を活性化
におい探しマット:マットのポケットにおやつを隠し、嗅覚を活用
🐕 高齢犬向け遊びの工夫
短時間で少しずつ(5〜10分目安)
低負荷・低衝撃で安全に
成功したら声や撫でるなどで褒め、安心感を与える
遊びや知育トイは、脳を刺激するだけでなく、保護者との絆も深めることができます。
🐕 認知症になりやすい犬種・特徴
大型犬・超大型犬
ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ジャーマン・シェパードなど
大型犬は平均寿命が10〜12年程度で、中高齢期から老化の影響が出やすく認知症リスクも相対的に高いとされます。
小型犬でも長寿種は注意
チワワ、トイ・プードル、シーズーなど
長生きするため高齢期が長く、認知症発症リスクも増える傾向があります。
犬種特有の遺伝的リスク
ゴールデン・レトリーバーは認知症になりやすいと報告あり
ボーダーコリーやラブラドールも老化による認知機能低下が出やすい場合があります。
その他の要因
高齢化(7歳以上でリスク上昇)
肥満や運動不足
知的刺激が少ない生活
健康状態(甲状腺機能低下症など内分泌疾患も影響)
💡 ポイント
犬種だけでなく、年齢・生活習慣・知的刺激の有無も重要です。
小型犬でも高齢になれば認知症リスクは無視できません。
ホロウィッツの研究にあるように、匂い嗅ぎや知育遊び、日常的な脳刺激を取り入れることが、犬種に関わらず予防に有効です。
🌟 まとめ
犬は匂いを通じて世界を読み取り、遊びを通じて社会性を築く
匂い嗅ぎ、遊び、知育トイを日常に取り入れることで認知症予防に役立つ
犬を犬として理解し、その特性を尊重して寄り添うことが大切
犬をただのペットではなく、別の知覚世界を持つパートナーとして理解すること。それがホロウィッツのメッセージであり、犬と人との関係をより深める鍵です。
次回は、犬の認知症の症状とケアについて詳しくお伝えします。
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