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動物との共鳴で知る、恐れを手放す勇気|サイ・モンゴメリーとタランチュラ・クララベルの物語

本記事で紹介したタランチュラ・クララベルのシーンを参考に、写真「Montgomery with a curly-haired tarantula named Bonita」をもとに描いたイラストです。参考元: Salt Project / New England Magazine
本記事で紹介したタランチュラ・クララベルのシーンを参考に、写真「Montgomery with a curly-haired tarantula named Bonita」をもとに描いたイラストです。参考元: Salt Project / New England Magazine

🕷 タランチュラ・クララベルが教えてくれた「赦しと共鳴」

見慣れないものや怖いものに出会ったとき、私たちは本能的に避けてしまいます。

でも、その恐怖の向こう側には、意外な学びや優しさが隠れていることがあります。

本記事では、サイ・モンゴメリーの著書『動物たちが教えてくれた「よい生き物」になる方法』に登場するタランチュラのクララベルとの出会いを通じて、恐れを手放し、動物と共鳴することの意味を考えてみます。


🌿 恐怖の先にあるもの:タランチュラへの誤解

人間は本来、生まれながらにクモを怖がるわけではありません。

しかし、多くの人は成長の過程で「クモは危険」「やたらと刺す」「毒が強い」といったイメージを植え付けられます。

サイ自身も、たいていのアメリカ人と同じように、子どもの頃からクモの恐ろしさを繰り返し聞かされて育ちました。

こうした情報はたとえ間違っていても、心の中に思い込みや恐れとして積もっていくものです。


💫 恐れを手放す勇気と動物との共鳴

しかし、サイの素晴らしいところ、私が心からあこがれるのは――サムが野生のタランチュラを手渡そうとしたとき、彼女が恐れや思い込みを手放し、純粋な興味と好奇心、そして生き物に対する優しさや愛情で手を差し出し、タランチュラを手のひらに受け取ったことです。

タランチュラを手のひらに載せていると、この生き物とのつながりが感じられ、もはや大きなクモではなく、小さな動物として捉えられました。毛で覆われた姿はまるで小さなシマリスのようで、手に持てるほどの大きさ。手の中をそっと、ゆっくり歩く姿を見ているうちに、サイは何とも言えない優しい気持ちに包まれたといいます。


🔍 すべての命は個として存在する

サイはふと疑問を抱きます。

「クララベルは私たちのことを識別しているのだろうか?」

研究者のサムはこう答えました。

「クモは人間と同じく個々の存在だ」と。

サムは13歳の頃からタランチュラをペットとして飼い、オハイオ州の研究所には約500匹ものタランチュラがいます。長年の触れ合いによって、同種のクモでも穏やかな個体もいれば、神経質な個体もいて、中には次第に穏やかに変化するものもあることがわかってきました。さらに不思議なことに、サムが姿を見せると、大人しくなる個体もいるのだそうです。

のちにサイが研究所を訪れた際、学生からこんな話を聞きました。

「サムが部屋に入ってくると、タランチュラたちに変化が起こるんです」

飼育されているタランチュラの多くは目が見えないにもかかわらず、サムが部屋に入った瞬間、飼育容器の中の500匹が一斉に動き、彼の方を向くのだそうです。しかも、この現象が起きるのはサムに対してだけ。

このエピソードは、私にとっても強く心に残りました。「恐れられるクモ」ではなく、一つひとつが個として生きており、心を通わせられる存在なのだと実感できるからです。


🌱 動物との共鳴から学ぶこと

タランチュラたちがサムにだけ反応する姿を思い浮かべると、「共鳴」という言葉が自然と浮かびます。

言葉を交わさなくても、「この人とは安心していられる」と感じられることが、人間同士でもあります。動物たちはそれを、もっと純粋に、深いレベルで感じ取っているのかもしれません。

サムとタランチュラたちの関係は、まさに 波長が合った存在同士の共鳴。そこには支配や恐れではなく、信頼とつながりがありました。

私自身も動物と向き合うとき、言葉や行動よりもまず 「心の状態」や「放っているエネルギー」 が伝わっているのだと改めて感じます。

共鳴しあうこと――それは人と動物の間だけでなく、自然や宇宙とのつながりにも広がっていく感覚なのかもしれません。


🌸 命からの贈り物

  • 赦し

  • 寛容

  • 思い込みを手放す勇気

  • そして すべての命は、個として存在し、共鳴できる

恐怖や偏見の奥にこそ、人生をやわらげてくれる贈り物があります。タランチュラのクララベルと、500匹の仲間たちは、そのことを静かに、けれど確かに教えてくれる存在でした。


✨ 著者サイ・モンゴメリーについて

今回ご紹介したエピソードの著者、サイ・モンゴメリーは 当代きってのネイチャー・ライター であり、動物との深い関わりから得た学びをもとに、私たちに「人と動物が共に生きる知恵」を伝えてくれる作家・教育者です。


子ども時代から動物たちと過ごす中で、恐怖や偏見を手放し、命を尊重する生き方を体験的に学んできました。その経験を基に書かれた著書 『動物たちが教えてくれた「よい生き物」になる方法』 では、動物との共鳴や心のあり方をやさしく解き明かし、読者に人間としての成長や気づきを促しています。


さらに、日本でも翻訳出版されている 愛しのオクトパス 海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界』 は、全米ベストセラーとなり、サイを世界的に知らしめた代表作のひとつです。彼女の著作は、動物や自然への洞察力豊かなまなざしによって国際的に高く評価されています。

※本文の内容は、『動物たちが教えてくれた「よい生き物」になる方法』を参照してまとめています。



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