前年の暮れ、キジ猫の男の子・オリマーが家に来るようになり、ひと冬だけの交流がありました。(オリマーについては、また別の機会にお話ししますね。)
春になると、オリマーが家を離れ、その入れ替わりのようにマリーちゃんが毎日姿を見せるようになりました。
初めてマリーちゃんに話しかけた日のことは、今でも鮮明に覚えています。
その日、私は裏庭でレンガを敷いていました。作業中、マリーちゃんが近づいてきたので、「あなたはなんていう名前なの?」と、ふと声をかけたのです。
実は、それまで動物たちに直接名前を聞いたことはありませんでした。それなのに、その時は自然と口から出た質問でした。その瞬間、不思議なことに「マリー」という名前が脳裏に浮かんできたのです。
これまで家に迎えた動物たちの名前は、「どんな名前にしようかな~」と数日かけて考えて決めていました。しかし、この時は違いました。問いかけた瞬間に返ってきた「マリー」という名前は、まるで彼女自身が教えてくれたように感じたのです。
もちろん、マリーちゃんは野良猫だったので、どこかでごはんをもらいながら、他の人に名前を付けてもらっている可能性もあります。でも、この時から彼女を「マリーちゃん」と呼ぶようになりました。
マリーちゃんはとても小柄で、生後半年くらいではないかと思いました。彼女との距離はいつも一定で、2メートル以上近づかせてくれることはありませんでした。それでも、私が裏庭で作業をしていると、彼女はそばに来て寛ぎながら横になり、じっとこちらを見つめていました。
ある日、何気なくマリーちゃんのお腹を見ると、乳首が少し目立っていることに気がつきました。その瞬間、「もしかして、妊娠しているのかもしれない」と思いました。しかし、その後も気にして様子を見ていましたが、出産や子育てをしている様子はありませんでした。
そして、その一年後――。
マリーちゃんとの関係が大きく変わる出来事が訪れるのです。
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